社員名簿は誰のものか。総務と情シスで決めるID基盤の持ち方

受付やチャットの社員名簿が、人事の名簿と合わない。
名簿が増えるほど、ズレは起きやすくなります。

全部を1つにまとめるのは容易ではないため、複数の名簿が残る前提で考える、現実的な持ち方があります。
名簿(マスタ)が増えるほど、ズレが起きる
社員名簿(マスタ)は、ツールが増えるたびに増えます。
人事、ID基盤(社員のIDとログインをまとめて管理する仕組み)、受付、チャット、会議室。それぞれが自分の名簿を持ちます。
※注釈:マスタは、ツールごとに持つ社員の一覧のことです。
名簿が増えると、次のようなズレが現場に出ます。
- 異動の反映が漏れて、来客の知らせが前の部署の担当者に届く。
- 退職した社員の名前が、受付の検索画面に残る。
- どの名簿が正しいか分からず、突き合わせに時間がかかる。
- 直す人が決まっておらず、ズレに誰も気づけない。
- 表記が揃わず、同じ社員が別の人として扱われる。
表記のズレは、名簿を突き合わせたり同期したりするときに、原因として見つけにくいものの1つです。
人の目には同じ名前でも、ツールによっては別の文字列として扱われます。
ツールを足すたびに、名簿ごとの命名ルールや記号、スペースの使い方が少しずつ分かれていきます。
たとえばMicrosoft Entra IDとの同期では、名と姓は半角英数字だけが写され、全角が1文字でも含まれると、写されずに既存の値が残ります。
ID基盤の役割は2つあります。「誰が社員か」を持つ名簿と、「本人か」を確かめる認証です。
この2つは別の機能なので、この記事でも分けて書きます。
全部を1つにまとめるのは大変なので、現実的には複数の名簿が残る前提で考える
名簿が1か所なら、更新も突き合わせも1回で済みます。
社員名簿を1か所に集約する考え方(ワンデータベース)です。
そうなればよいという考えは、自然だと思います。
ただ、移すのは簡単ではありません。
名簿の移管には費用と手間がかかり、費用の承認も要ります。
人事、情シス、各部署と、全社に関わります。
うまくいかなかったときの戻し方や、引き継ぎの手間も重くなります。
受付を入れる側が、お客様の名簿の土台を変えることもできません。
RECEPTIONISTは、お客様の名簿やID基盤を入れ替えずに、連携する形です。
だから現実的には、名簿は複数残る前提で、ルールを徹底して、間違えにくくする工夫を積み重ねます。
将来に1か所へ集約する選択肢を、否定するものではありません。
複数の名簿を、仕組みで揃える工夫
複数の名簿が残るなら、ルールで揃えます。
名簿の変更を最初に入力する場所を決め、ほかの名簿はそこから写す。
この考え方を「正の元」と呼びます。
候補は、人事システム、ID基盤(Microsoft Entra ID(旧Azure AD)やGoogle Workspace)、総務が管理するExcelなどです。
選ぶ目安は、異動や退職の情報が最初に入る場所に近いかどうかです。
そこを大元にすると、同じ内容を二度入力しなくて済みます。
総務は「いつ、誰が変わるか」を渡します。
情シスは「どのシステムに、どの方法で反映できるか」を答えます。
この分担を先に決めておくと、漏れがどちらの側で起きたのかを追えます。
大元を決めても、ほかのツールが自動でついてくるとは限りません。
反映の持ち方は3つあり、どれにも向き不向きがあります。
持ち方 | 受付での例 | 限界 |
|---|---|---|
手で直す | 異動や退職のたびに、各ツールで社員の登録を直す | 人数が増えるほど、漏れと遅れが出ます。担当が替わると、手順も途切れます。 |
自動で同期する | Microsoft Entra ID(旧Azure AD)から社員名簿を同期する | 同期は手動か、週1回の定期実行です。リアルタイムではなく、SCIMでもありません。 |
ファイルで取り込む | SFTPで名簿ファイルを毎日6:30に取り込む | ファイルを用意する人と、その手順を決める必要があります。 |
※注釈:SCIMは、IDの変更をほかのツールへほぼ即時に伝える、業界標準の仕組みです。
今できることと心得
名簿の土台を変えなくても、今日から決められることがあります。
- 正の元になる名簿(正本)を決め、ほかの名簿をそれに合わせるルールを作る。名簿は複数のままです。食い違ったときは正本に直す、という基準を先に決めます。
- 表記のルールを正本に揃える。姓名の間のスペース、全角と半角、部署名の略称、メールアドレスの書き方を、正本の表記に合わせて決めます。
- 正本からほかの名簿へ、誰がいつ反映するかを決める。反映が週次なら、退職日の何日前までに正本へ入力するかまで決めます。
- 誰が、いつ、どこを直したかを残す。担当が替わっても、手順を引き継げます。
- 小さな範囲から始める。まず1つのツールで試して、元に戻せる状態を保ちます。
- 既存の名簿と並行して動かす。新しい仕組みに一度に切り替えず、結果が合うかを見比べます。
仕組みを選ぶときは、失敗したときに戻せるかどうかも条件に入れます。
名簿の持ち方を決める前に、来客の知らせがどう届くのかを見ておきたいときは、3分でわかる!受付システム解説資料で、基本機能と導入事例を確認できます。
情シスに渡す確認項目
総務から情シスに相談するときは、次の項目を並べて渡すと、話が早く進みます。
- 名簿の正の元(正本)はどこか。人事システム、ID基盤、Excelのどれを正本にするか。ほかの名簿を正本に合わせるルールはあるか。
- 異動・退職を、誰がいつまでに入力するか。入力が遅れた日数が、そのまま名簿のズレになります。
- ツールへの反映は、手・同期・ファイルのどれか。同期なら、手動か、週1回の定期実行で運用が回るか。
- 退職者を、いつ各ツールから外すか。
- 名簿の表記ルールは揃っているか。姓名のスペース、全角と半角、部署名の略称、メールアドレスの書き方が、名簿の間で違わないか。
- ログインをまとめるか。まとめる場合、使っているID基盤が対応一覧に入っているか。
- ID基盤がGoogle WorkspaceとMicrosoft 365に分かれていないか。分かれている場合、どちらを大元にするか。
- 障害や移行でID基盤にログインできないとき、どう対応するか。
ツールを入れたあとの連携を、来客対応から設計する考え方は、別の記事で整理しています。
今のID基盤のまま、受付をつなげられます
お客様のID基盤や名簿を入れ替えなくても、RECEPTIONISTには連携の形がいくつかあります。
大きく、認証(ログイン)と、名簿の同期に分かれます。2026年11月4日時点の内容です。
認証:ログインを一か所にまとめる
ログインを一か所にまとめる仕組み(SSO)に、SAML認証で対応しています(PREMIUMプラン)。
※注釈:SAML認証は、ID基盤でのログイン結果をほかのツールへ渡す方式です。
対応するID基盤(IdP)は、ヘルプに記載のあるもので、
OneLogin、Microsoft Entra ID(旧Azure AD)、Google Workspace、HENNGE One、CloudGate UNO、Okta、trustlogin、Nextsetの8つです。
※注釈:IdPは、ログインを一元管理する側のサービスです。
設定すると、メイン管理者を除いて、メールアドレスとパスワードでのログインができなくなります。
Microsoft Entra IDの場合、連携する属性は、メールアドレス、名前、名と姓です。
管理者が未登録の社員でも、Entra IDにアカウントがあれば、SAML認証でログインでき、アカウントが自動で追加されます。
名簿の同期:社員名簿を写す
Microsoft Entra IDからは、社員名簿を同期できます(PREMIUMプラン)。
同期は手動か、週1回の定期実行です。定期実行は、設定の申請から反映まで約1週間かかります。
Microsoft Entra IDにいない社員は、受付側でも削除されます。
ただし、管理者と有効なアポの担当者は削除されません。
Outlookの予定や会議室まで含めた話は、Outlook・会議室・名簿までつなぐ場合にまとめています。
SFTPでは、名簿ファイルを毎日6:30に取り込みます。
Google Workspaceから社員名簿を自動で同期する機能は、現時点では提供していません。
Google Workspaceの会社は、手で直すか、ファイルで取り込む形になります。
予定や会議室まで含めた話は、Google Workspaceで来客・予定・会議室までつなぐ場合を読んでください。
公開APIで取得できるのは社員一覧のみで、登録や更新には使えません。
認証と名簿の同期は、別の設定です。
どちらをどのID基盤につなぐかは、情シスと一緒に決めます。
名簿の持ち方を決めたら、来客対応の流れ全体を3分でわかる!受付システム解説資料で確認してください。
