受付システムを選ぶ前に、社内のセキュリティ基準をどう確かめるか?

安さを軸に候補を選び、社内で比べ、上申(稟議)まで通した。
あとは契約を待つだけという段階で、親会社から、セキュリティ基準が足りていないと指摘される。
候補の選び直しになり、比較表も、上申の資料も、最初から作り直しです。
安さを重視すること自体は、間違いではありません。ただ本当に基準や価格だけでしょうか?
基準を確かめる先は、情報システムや親会社など、受付とは別の部署にもあります。
そこを上申の前に聞けば、手戻りを減らせる可能性があります。
受付システムを導入した会社の例は、導入事例集にまとめています。
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この記事でわかること
- 受付システムのセキュリティ基準を、社内の誰が持っているか
- 候補を絞る前に確かめたい4つのこと
- 安いところから探すときに、先に確かめておきたいこと
受付システムのセキュリティ基準は、誰が持っているか

受付システムのセキュリティ基準は、1つの部署が持っているとは限りません。
総務、情報システム、親会社やグループ、監査や品質の担当と、立場によって気にする点が違うためです。
次の表は、立場ごとに気にされやすい点を推量でまとめたものです。
会社によって異なるため、実際の基準は社内で確かめてください。
立場 | 気にしそうな点 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
総務 | 受付が混む時間帯でも止まらないか。日々の運用に無理がないか | 今の受付の流れを、どこまで変えてよいか |
情報システム | 既存の認証やID管理とつながるか。情報がどこに保管されるか | 社内のIDで使える仕組みが前提か |
親会社・グループ | グループ共通のセキュリティ基準を満たすか | 共通の基準書や、確認用のチェックシートがあるか |
監査・品質 | 来訪の記録が残り、あとから確認できるか | 何を、どのくらいの期間、残す決まりか |
基準が文書になっていない場合は、過去に別のシステムを導入したときの確認項目が手がかりになることがあります。
最初の一歩は、誰が基準を持っているかを、見積もりより前に聞いておくことです。
候補を絞る前に確かめる4つのこと
見積もりを取る前に次の4つを社内で確かめておくと、選び直しの場面を減らす助けになります。
① 通す相手と順番
上申の前に、基準を確認する相手と順番を決めます。
家を借りるときに、契約書を作ってから管理会社の承認が要ると分かれば、書類は書き直しです。
それと同じことが、受付システムの選定でも起こります。
✅ここをチェック
- ☐ 上申の前に、確認が必要な部署はどこか
- ☐ 確認は、見積もりの前か後か
- ☐ 親会社やグループに、確認用のチェックシートがあるか
- ☐ 回答までに、どのくらいの期間がかかるか
② 既存ツールとの連携
Microsoft 365、Google Workspace、チャットツールなど、社内で使っているツールの認証や通知とつながるかを確かめます。
認証基盤が複数あると、連携できる範囲が限られる場合があります。
社員証が1枚でも、建物ごとに別の鍵が要れば、入るたびに手間が増えます。
認証が1つにまとまっているかどうかは、導入後の運用にも響きます。
※注釈:認証基盤とは、社員のIDとパスワードをまとめて管理する仕組みです。
✅ここをチェック
- ☐ 社内で使っている認証基盤は、いくつあるか
- ☐ 候補ごとに、連携できる認証の方式を確認できるか
- ☐ 来訪の通知先(Microsoft 365、Google、チャット)に合うか
- ☐ 連携の設定を、誰がいつ行うか
③ 来訪者の記録の置き場所と保存
来訪者の氏名や会社名は、個人情報にあたります。
どこに保存され、どのくらいの期間残り、誰が見られるかを確かめます。
受付の台帳を、玄関のカウンターに開いたまま置くのか、鍵のかかる引き出しにしまうのか。
その違いに近い話です。
誰でも入れる待合スペースに画面を置く場合は、次の来訪者の氏名が見えない表示かも確認の対象になります。
✅ここをチェック
- ☐ 記録の保存場所と保存期間が、社内の決まりに合うか
- ☐ 画面に、次の来訪者の氏名が出ないか
- ☐ 記録を見られる人を、絞れるか
- ☐ 保存期間が過ぎた記録を、どう扱うか
④ 社内への伝え方と戻り先

基準に合わないと分かったとき、どこまで戻ってやり直すかを先に決めておきます。
比較表からか、上申の資料からか。戻り先が決まっていれば、指摘を受けても直す範囲を小さくできます。
旅行の予約で、変更できる期限を先に見ておくのと似ています。
✅ここをチェック
- ☐ 確認の結果を、誰に、どの形で伝えるか
- ☐ 基準に合わない場合、比較のどこまで戻るか
- ☐ 上申の資料に、確認済みの基準を書く欄があるか
基準は、候補を選ぶ前に聞くほうが、あとで直すより小さな手間で済みます。
安いところから探すときに、先に確かめたいこと
月額や初期費用の安さは、社内の基準に合うことまでは示しません。
料金表に載らない手間が、あとから費用として現れることがあります。
料金表に出ない手間 | 起きる場面 | 先に確かめること |
|---|---|---|
連携の調整 | 既存の認証や通知とつなぐときに、設定や調整が必要になる | 連携できる範囲と、設定を誰が行うか |
基準の確認 | 親会社やグループのチェックシートに回答する | 回答に必要な資料を、提供元が用意しているか |
選び直し | 基準に合わず、候補を入れ替える | どの段階まで戻り、どの資料を作り直すか |
安い順に並べてから基準を当てると、上位の候補が落ちたときに、比較をやり直すことになります。
順番を逆にすると、比べる対象が最初から絞られます。
基準に通る候補を先に絞り、その中で料金を比べる。この順番にするだけです。
基準の確認を、メールと表計算で回すと起きること
候補が少ないうちは、確認をメールと表計算で回しても成り立ちます。
限界が見えるのは、確認先と候補が増えてからです。
確認先が増え、候補も増えるほど、確認は掛け算で増えます。
回答の版がメールと表計算に分かれ、どれが最新かをたどる手間も出てきます。
担当が変わったときに経緯が追えないのは、人ではなく、記録の残し方の仕組みの問題です。
基準が更新されたときに、過去の確認結果をそのまま使えるかどうかも、表計算だけでは判断しにくくなります。
受付、記録、既存ツールとの連携が1つの仕組みにまとまっていれば、確認する窓口も、その分まとまります。
受付システムがセキュリティ対策として見直されている理由は、資料にまとめています。
「新セキュリティ対策として受付システム需要が高まる3つの理由」をダウンロードする
受付システムで見直した会社の例
デンソーグループの中核企業で、自動車部品メーカーの株式会社デンソートリムは、
当初コスト面から安価な別サービスを検討しましたが、運用を詰める段階で親会社のセキュリティ基準に対応できないとわかり、
受付システムを見直しました。詳細は株式会社デンソートリムの導入事例で紹介しています。
製造業で受付システムを導入した会社の例は、製造業編の導入事例集にまとめています。
導入事例集(製造業編)をダウンロードする
合わないこともある
この記事の確認項目は、来訪者の受付と記録を中心にしています。
入退館ゲートや、工場の入口の管理が絡む場合は、確認する範囲が変わります。
ゲートとの連携はセキュリティゲート連携の記事、工場の入口は工場のセキュリティの記事で整理しています。
社内の基準が、受付システムの導入そのものを認めていない場合も、この記事の順番では進みません。
そのときは、基準を持つ部署と、例外の条件から話し合うことになります。
自社に当てはめる4つのポイント
見積もりを依頼する前に、次の4つを書き出してください。
- セキュリティ基準を持っている部署はどこか
- 社内で使う認証基盤と、来訪の通知先のツールは何か
- 来訪者の記録を、どこに、どのくらい残す決まりか
- 基準に合わなかったとき、どこまで戻るか
この4つが書き出せていれば、見積もりの依頼で、社内の基準を最初から条件として伝えられます。
候補を絞ったあと、ほかの会社の運用を見比べたいときは、導入事例集が手がかりになります。
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