受付と会議室予約、別々に管理していませんか?――TVerが選んだ一気通貫の仕組み

この記事の要約
- 移転前は内線電話と総務担当1名による受付対応、Googleカレンダーのみでの会議室運用など、来客対応がアナログで属人的な運用となっていました。
- 2025年12月のオフィス移転をきっかけに、受付システム「RECEPTIONIST」と会議室予約システム「予約ルームズ」を同時に導入しました。
- Slack連携や、マルチテナント対応、自動キャンセル設定・即入室機能などにより、受付対応から会議室予約までを一気通貫で業務効率化しています。
株式会社TVerは、民放公式テレビ配信サービス「TVer」の開発・運営を中心に事業を展開しており、2026年時点で約210名の社員が在籍しています。
2025年12月には赤坂グリーンクロスへのオフィス移転を行い、これが受付対応と会議室予約の両方で長年抱えていた課題を見直す大きなきっかけとなりました。
今回は、受付システム「RECEPTIONIST」と会議室予約システム「予約ルームズ」を管理する総務部の藤澤氏にお話を伺いました。
受付と会議室という2つの課題を見直すきっかけになった移転

移転前のオフィス(新橋マリンビル)は3階・5階・6階の3フロアに分かれており、来客用の会議室は6階に設置されていました。
当時は、エントランスにある内線電話機から指定の番号にかけると、総務デスクの固定電話につながる仕組みでしたが、この電話が鳴るのは総務担当1名のデスクに限られていたため、受付の取次業務が実質的にその1名にすべて集中してしまうという課題を抱えていました。
電話を受けた総務担当は用件を伺い、Googleカレンダーで来客予定を照合したうえで、Slackで担当社員に到着を連絡。
その間、来訪者にはソファでお待ちいただく流れでした。
基本的には、担当者がお客様の到着前に迎えに行くという運用でしたが、直前の会議が長引いたり、お客様が予定より早く到着したりして間に合わないことも多く、その都度総務が代わりに対応していました。
さらにゲートのない構造のビルだったこともあり、アポイントメントのない飛び込み営業への対応にも追われていました。
また、会議室はGoogleカレンダーで予約・管理していましたが、6階の来客用会議室4室については、社外との打ち合わせや面接だけで予約が埋まってしまう状態が続いていました。
加えて、会議が予定より早く終わってもカレンダー上は予約が残ったままになるため、現在の空室状況を正確に把握できないという課題も抱えていました。
こうした状況のなか、運用を見直す最大のきっかけとなったのが、2025年12月のオフィス移転です。
新オフィスでは3フロアに分散していた拠点が集約されることから、これを機に受付・会議室双方の運用をあらためて見直すことになり、総務部が中心となって、受付対応の効率化と会議室運用の改善に向けて、ツール導入の検討に乗り出しました。
受付から会議室予約まで、一気通貫でつながった新たな運用方法
システム選定では、RECEPTIONIST以外に他社サービス4社を比較し、受付と会議室を別々のサービスで導入するといったパターンも含めて、さまざまな組み合わせを検討しました。
最終的な決め手となったのは、次の3点です。
- フロアの異なるグループ会社とも会議室を共有できる、マルチテナント運用に対応していること
- 受付システムと会議室システムのアカウントを1つにまとめ、一元管理できること
- Googleカレンダーで非公開にした予定は、予約ルームズ上でも非公開のまま表示されること
いずれの点でもRECEPTIONISTと予約ルームズが希望に近い形で対応できたことから、両プロダクトの導入が決まりました。
あわせて、受付と会議室予約のシステム同士が連携できる点も、魅力のひとつだったといいます。
現在の受付から会議室予約までの流れは、以下の通りです。
新オフィスのビルでは3階にフラッパーゲートが設けられており、通過にはRECEPTIONISTとは別に、ビル側の来客登録で発行される入館用QR画像を使用します。
アポイントメントのある来訪者は、このゲートを抜けて20階のエントランスへ上がり、設置されたiPadで担当者を検索して呼び出すと、担当者にはSlackでリアルタイムにメンション付きの通知が届き、確認した担当者が「OK」または「HELP」のボタンを押します。
「OK」を押すとチャンネル全体に状況が共有され、「HELP」を押すと@hereに通知が飛んで別の社員が来客対応を引き継ぐことができます。
一方、配送業者などアポイントメントのない来訪者には、iPad上のカスタムボタンから業者名を選択してもらい、総務が対応しています。
会議室運用は、Googleカレンダーで空きのある会議室を予約し、利用時に会議室の外に設置されたiPadでチェックイン/チェックアウトを行う運用です。
予約開始から15分以内にチェックインがなければ自動でキャンセルされる設定にしているため、空予約の解消にもつながっています。
一部の会議室には、時間お知らせ端末も併用で設置しており、終了10分前になると表示の色が変わり、5分前にはもう一段階切り替わるため、残り時間をひと目で把握できます。

受付対応・会議室運用・連携機能――3つの視点で見る導入効果

RECEPTIONISTと予約ルームズの導入により、来客対応にかかっていた時間が削減され、無断キャンセルなどによる未使用の会議室が最小化されたことで、予約が取りにくい状態も解消されました。
1.受付対応の取次ゼロへ
来訪者の受付通知が担当者へリアルタイムで直接届くようになり、電話の取次そのものが不要になったことで、来訪者・社員双方のストレスも軽減され、スムーズに対応できるようになっています。
なかでも大きな変化は、総務担当1名に集中していた取次の負担がなくなったことだと藤澤氏は話します。
2.空室状況が分かるようになり会議室利用の最大化に
予約開始から15分以内にチェックインがない場合は自動でキャンセルされる仕組みにより、以前よりも会議室を確実に、効率よく使えるようになりました。
オープンなミーティング席よりも会議室を使いたいという社員のニーズがもともと強かったこともあり、キャンセルによって生まれた空き時間は、即入室機能を使ってその場ですぐに利用できるため、うまく活用につながっています。
また、一部の会議室に試験導入した時間お知らせ端末は、社員の時間意識を高め、次の利用者へのスムーズな引き継ぎにも一役買っています。
3.受付から会議室の利用終了まで一気通貫で管理できる仕組みに
受付から会議室の利用終了までを一気通貫で管理できるようになったことで、業務全体が最適化されました。
さらに、RECEPTIONISTと予約ルームズの管理画面がまとまり、受付と会議室の設定や状況確認を同じアカウントで行えるため、管理担当者の負担が抑えられ、日々の運用のしやすさにもつながっているといいます。
細部にまでこだわり抜いた4つの効率化ポイント
配送業者向けカスタムボタンの階層化
配送業者ごとにボタンを分けて階層化しており、通知を受け取った時点でどの業者が来訪したかを判別できるようにしています。導入前は業者の種類にかかわらず総務がエントランスへ向かっていましたが、コーヒーメーカーや自販機の補充業者などカフェスペースで落ち合うほうが早いケースもあり、行き違いが生じることもありました。ボタンを分けたことで、総務が対応すべき業者と落ち合う場所を事前に把握できるようになり、不要な移動やすれ違いを減らしています。

担当者名検索を軸にした、迷わせない受付運用
ビルへの入館には、3階のゲートを通過するための、RECEPTIONISTとは別のQR画像が必要になるため、受付でもRECEPTIONISTのQR画像を使ってしまうと、来訪者はQR画像を2つ持つことになり、かえって分かりにくくなってしまいます。そこで、20階のエントランスでは、QR画像での受付機能よりも、担当者名を検索して呼び出す運用をメインにしています。機能を増やすのではなく、あえて使わないという選択によって、来訪者の迷いをなくすシンプルな受付を実現しています。

会議室の自動キャンセル設定と即入室機能
予約から15分以内にチェックインがない場合は自動でキャンセルされる設定にし、空予約を防いでいます。キャンセルによって空いた時間は、端末上の予約状況の一覧からその場で見つけてすぐに入室できるため、無駄になりがちだった枠も活用につながっています。

フロアをまたいだマルチテナント運用も柔軟に
Googleカレンダーから予約できる会議室の環境は、親法人であるTVerを軸に、同じビルに入居する株式会社TVer DATA MARKETINGの19階の会議室も含めて一括で予約できるようになっています。会議室が不足しがちな時間帯でも、フロアを越えて空いている部屋を確保できるため、無理に新しい会議室を増やさなくても、限られたスペースを有効に活用できているといいます。
前向きな社風に支えられたスムーズな定着

2025年12月の移転に先立ち、移転前から社員向けのオンライン説明会を2回実施しました。
特別な追加の周知は行っていませんが、社員が新しい仕組みを前向きに受け入れる風土があったことに加え、導入前の運用がアナログだったこともあり、むしろ新しいシステムを歓迎するような雰囲気で受け入れられました。
総務から追加のサポートを重ねなくても、定着までに時間はかからず、現場からの反発や不安も特になかったそうです。
「受付」×「会議室予約」の連携が叶えた業務効率化と来客体験向上
移転をきっかけに、これまで別々の課題として捉えられていた受付対応と会議室予約を、RECEPTIONISTと予約ルームズの併用によって一気通貫の運用に改善した同社の取り組みは、業務効率化と来客体験の向上を同時に叶えた事例です。
受付と会議室予約は本来ひとつながりの来客対応であり、別々のツールで個別に解決するのではなくまとめて見直すことで、運用の手間だけでなく、お客様の来客体験そのものも変わり、顧客満足度の向上にもつながっています。
受付と会議室予約をまとめて見直した株式会社TVerの取り組みは、業務効率化と来客体験の向上を両立したい企業にとって、参考になる事例と言えるでしょう。


