「100人来ても大丈夫!」ディーエムエスの生産現場が実現した受付DX最前線

この記事の要約
- ・年間4万枚にのぼる紙書類を電子化し、管理負担を解消
- ・警備・総務を含め全体で月間101時間の作業削減、約33%の効率化を実現
- ・外部業者による入場申請を実現し、派遣会社が直接スタッフ登録可能に
株式会社ディーエムエスは、顧客企業と生活者のより良い関係づくりをトータルサポートする「ダイレクトマーケティング事業」を展開しており、年間3.5億通の発送を行うダイレクトメール事業、物流事業などを手掛けています。
すべての事業において個人情報の取り扱いが必須となるため、強固な情報セキュリティ基盤を持つことが強みです。
今回、同社の業務センターでは、長年の課題であった紙での受付管理などアナログ業務からの脱却のため、RECEPTIONISTを導入しました。
導入を推進した、業務本部 総務部 係長 守田氏に導入の背景から導入後の効果までを詳しくお伺いしました。
紙の山と早朝対応からの脱却
埼玉県西浦和にあるディーエムエスの業務センターでは、日々多くの派遣スタッフが入館します。そのたびに、警備員は名簿をチェックし、セキュリティカードの貸出簿も手書きで記入していました。さらに、派遣スタッフ一人ひとりに個人情報に関する紙の同意書へ署名をしてもらっていたため、受付にはかなりの時間がかかっており、繁忙期には100名もの派遣スタッフの対応で混乱状態でした。
同意書は、派遣スタッフが作業で得た個人情報を外部に漏らさないことを約束する重要な文書で、10年間の保管義務があるため、毎年膨大な紙が積み上がっていました。
「毎朝7時半から総務と警備員が受付準備に追われていました。受付に関わる紙が多種多様で合算すると年間4万枚。そのファイリング作業と、山積みのファイルの保管場所の確保にも苦労していたんです。」(守田氏)
派遣スタッフの入館方法は、長年アナログな運用が続いていました。
ディーエムエスでは近年、全社的にデジタル戦略を推進しており、その一環として業務効率化を進めるDXが重要なテーマでした。受付はまさに改善すべき課題のひとつだったのです。
「膨大な紙を削減し、時間と人的リソースを有効活用したいと考えていました。特に受付は、最大100名近い派遣スタッフが出入りする現場にとって大きな負担になっていたんです。」(守田氏)
システム化への挑戦
最初の試みは、受付システムを個別開発することでした。しかしコストや社内のセキュリティ基準の壁に阻まれ、実現には至りませんでした。そこで候補に挙がったのが、RECEPTIONISTでした。
選定の決め手は、次の4つ。
・派遣会社ごとに登録情報を分けられる
・IDカードの貸出履歴を記録できる
・同意書を画面上で取得できる
・呼び出し機能が外線に対応している
「正直、希望した機能は個別開発でしか実現できないと思っていました。既存の製品で全てカバーできたのは本当に驚きでした。」(守田氏)
月間101時間の業務削減を実現
RECEPTIONIST導入後は、派遣会社が前日に派遣スタッフの情報をRECEPTIONISTに登録することで、スタッフ本人には受付用QR画像が自動送付されるようになりました。当日、派遣スタッフはiPadにQR画像をかざすだけで入館手続きが完了し、退館時も同じQR画像で退館手続きができるようになりました。
また、同意書も電子化され、ワンクリックで取得・保存が可能になったことで、膨大な紙の保管義務からも解放されました。さらに、受付時に貸し出したセキュリティカードの番号も記録しているため、貸出記録も自動的にデータ化される仕組みが整い、結果として、現場の業務が大きく効率化されました。
・警備員の準備時間:30分 → 0分
・総務の受付対応:60分 → 10分
・同意書の紙:年間約4万枚削減
・月間業務時間:全体101時間削減
新機能「外部業者による入場申請」
今回の導入で特に大きなポイントとなったのが「外部業者による入場申請」の機能です。これまでRECEPTIONISTでは「導入企業の従業員のみ」が入場を登録できる仕組みでしたが、利用規約を改定し、派遣会社などの外部業者による入場申請を可能にしました。
「毎日FAXで送られてきていた名簿が、すべてRECEPTIONISTのデータに置き換わりました。最初は派遣会社から“CSV登録が難しい”との声もありましたが、フォーマットが固定化され操作に慣れていただいた今は問題なく運用できています。」(守田氏)
この取り組みは、工場や物流拠点など“複数の外部人材が日常的に出入りする環境”における新しい受付のモデルケースになると考えています。
「派遣スタッフは駅に集合してから全員で出勤、というルールもなくなり、各自が直接出勤できるようになりました。派遣スタッフからも“出勤前の待機時間を短縮できて嬉しい”と好評です」(守田氏)
現場を動かす交渉と工夫
「RECEPTIONISTを導入するにあたり、一番にご協力いただいたのは派遣会社様です。」(守田氏)
CSV形式でのスタッフ情報の提供や、スタッフ本人の同意取得など、タスクは山積みでした。
守田氏は派遣会社との交渉の場で、こんな言葉を繰り返しました。
「派遣スタッフの集合時間を1時間前から20分前に短縮できます。その分、スタッフのメリットも増え応募数も増えるはずです。」
そうして現場のメリットを丁寧に伝え、派遣会社からの協力を得ていきました。
一方、社内では、高齢の警備員から不安の声も上がっていました。
「QR画像って何?」と戸惑う高齢の警備員に、守田氏は24ページのマニュアルを作成して丁寧に説明をしました。
「これは生みの苦しみ。慣れれば絶対に今までよりスムーズな受付になります!」(守田氏)
そう声をかけ続け、少しずつ新しい運用が根付いていきました。
現場からの声
導入後、今回のプロジェクトの関係者それぞれが効果を実感しています。
・警備員:「紙の準備や取次作業がなくなり、本来の警備業務に集中できる」
・総務部:「同意書や勤務報告書を目視で確認する必要がなくなり、正確性が向上した」
・派遣会社:「FAX送受信が不要になり、1日15分の業務削減につながった」
・派遣スタッフ:「待ち時間がなくなり、スムーズに出勤できるようになった」
まとめ
ディーエムエスでは、複数の派遣会社が直接スタッフの入場を申請できる「外部業者による入場申請」機能とホールディングス機能を活用し、派遣会社ごとに情報を分けることで、セキュリティと効率を両立しています。
「工場や物流拠点の受付は独自ルールも多く複雑ですが、RECEPTIONISTは柔軟に対応できる。私たちの現場でもしっかりフィットしました」(守田氏)
ディーエムエスの挑戦は、紙と人手に頼った運用から、デジタルで効率とセキュリティを両立する姿へと大きく変わりました。同じ課題を抱える業務センターや工場の方々にとっても、大きなヒントとなるはずです。
企業名 | 株式会社ディーエムエス |
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業種 | ダイレクトマーケティング事業 |
従業員数 | 293名 |

RECEPTIONISTシリーズについて
RECEPTIONISTシリーズは、ビジネス上のつながりをテクノロジーでスマートにすることで
各従業員が本来やるべき業務に集中でき、働きやすい環境に変えていくクラウドサービス群です。